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上澤 伸一郎; 小泉 安郎; 柴田 光彦; 永武 拓; 吉田 啓之
混相流, 31(2), p.162 - 170, 2017/06
東京電力福島第一原子力発電所事故では、非常用冷却水の注水・除熱機能が失われたため海水が注水された。しかし、炉内への海水注入は行われたことがなく、海水による燃料集合体の冷却は検討されていない。本研究では、海水を用いてプール核沸騰実験を実施し、伝熱面温度と伝熱面上の海水塩析出層厚さの測定を行い、海水塩析出物が核沸騰熱伝達へ与える影響について評価した。また、燃料棒と同様な寸法の内管加熱部を持つ鉛直二重管流路での上向き強制流動沸騰実験を実施し、海水の流動沸騰への影響についても議論した。その結果、高濃度の人工海水では、一定かつ低い熱流束であっても壁面過熱度が次第に増加し、既存の伝熱評価式から外れる、伝熱面温度の逸走が起きることを確認した。海水塩析出層厚さの測定から、この伝熱面温度の逸走は、伝熱面上に海水塩の1つである硫酸カルシウムが析出し、時間とともに析出層が厚くなることにより、表面までの熱抵抗が増加して起きる現象であると考えられる。また、海水塩濃度が高いほど、より低い熱流束で伝熱面温度の逸走が起きており、海水塩の伝熱面上での析出は、伝熱面近傍の海水塩濃度が関係すると考えられる。流動沸騰条件では、下流では海水の濃縮が進むため、下流の伝熱面にはプール核沸騰実験よりも低い熱流束で海水塩が析出し、伝熱面温度の逸走が発生することを確認した。
三島 嘉一郎*; 日引 俊*; 西浦 英晃*; 飛田 吉春
PNC TY9604 96-003, 10 Pages, 1996/05
本研究は,高速炉の炉心損傷事故時に炉心に形成される燃料とスティールの混合プールの沸騰挙動の解明に関する基礎研究であり,動燃と京都大学原子炉実験所との共同研究である。内容は溶融低融点金属に気泡注入を行う模擬試験に対して,中性子ラジオグラフィー手法を用いた可視化計測を行って,高密度比気液二相流の気泡径状,動態及びボイド率などの基礎データを取得すると共に,このデータを用いて動燃のSIMMER-IIIコードのモデル検証・改良などを行うものである。本年度は,共同研究の初年度として,低融点合金の予熱と吹き込みを可能とする実験装置一式の製作と気泡模擬形状の空間を有する固体資料を置いた状態でのラジオグラフィー可視化測定性確認試験を実施した。本報告書ではこの可視化測定性試験結果について報告する。
河村 洋; 関 昌弘; 椎名 保顕; 佐野川 好母
Journal of Nuclear Science and Technology, 12(5), p.280 - 286, 1975/05
被引用回数:11本論文は液体金属の自然対流および沸騰熱伝達に及ぼす磁場の影響について述べたものである。伝熱試験部は直径6.5mmФのヒータピンでこれを内径94mmФ、高さ70mmの円筒形ナトリウム容器に垂直に挿入した。磁場の方向は重力の方向と同様伝熱面に平行である。実験は磁場の強さを最大1.5Teslaまで変化させて行なった。実験の結果、以下のごとき結論を得た。磁場中での非沸騰自然対流領域において、熱流束の増加に伴ない伝熱面温度が急上昇し、しかも激しく振動するという特異な現象が現われた。沸騰開始の伝熱面過熱度、熱流束は磁場がかかると低くなり、また磁場の強さに対し最小値をとる傾向を示す。バーンアウトに対する磁場の影響は小さい。
藤城 俊夫; 佐野川 好母; 鳥飼 欣一; 大内 光男
日本機械学会論文集,B, 40(336), p.2311 - 2320, 1974/00
高速炉の安全性や液体金属MHD発電等に関連して、ナトリウムプール沸騰に関する知見を得るために行なった実験である。実験は円筒状のステンレス製ナトリウム容器の底面に直径約40mmの水平伝熱面を設けたプール沸騰実験装置を使用し、通常機械仕上げ面状態のニッケル製伝熱面からの沸騰実験を行ない、カバーガス圧力を0.01気圧から2.0気圧までパラメータにとって沸騰開始過熱度および沸騰熱伝達率の測定を行なった。その結果、まず過熱度については、他の実験者のデータと同じく圧力低下にともなって増加するが、溶存ガスの影響を無視した理論値とは一致せず、カバーガスが沸騰開始以前の状態での飽和値近く溶存して保持されるという考えに立たないと傾向が良く説明できないようであり、溶存ガスの影響が無視できないことが示唆された。又、熱伝達率は圧力が約0。2気圧以下ではsubbotinの整理式と良く一致したが、それ以上の圧力ではやや異なった。
上澤 伸一郎; 永武 拓; Jiao, L.; Liu, W.; 高瀬 和之; 小泉 安郎; 吉田 啓之
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故では、炉心の冷却のため海水が注入されたことから、炉内状況を正確に把握するために、海水を用いた場合の伝熱流動評価モデルの作成が求められる。本報告では、海水が沸騰の物理機構に与える影響の解明を目的として、人工海水を用いたプール沸騰試験を実施し、沸騰挙動の可視化計測と伝熱面温度分布計測から、海水が沸騰に与える影響について検討した。計測結果より、3.5wt%濃度の人工海水は、純水に比べて壁面過熱度が大きいのにもかかわらず、沸騰によって生じる気泡は小さく、気泡数が少ないことが実験より得られた。また、人工海水を用いた場合、伝熱面の温度分布が純水を用いた場合と比較して、一様ではないことが示された。これらの原因として、伝熱面に非一様に結晶が析出したことが原因のひとつと考えられる。このように結晶析出によって沸騰が抑制され、伝熱に影響を及ぼすことがわかった。
上澤 伸一郎; 小泉 安郎; 柴田 光彦; 吉田 啓之
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故では、炉心の冷却のため海水が注入されたことから、炉内状況を正確に把握するために、海水の沸騰熱伝達の評価が求められる。本報告では、伝熱面上に析出した海水成分が沸騰熱伝達に与える影響を把握するため、海水プール沸騰実験を実施した。その結果、塩分濃度7wt%, 10wt%の人工海水において、伝熱面全面に結晶が析出した。さらに、一定の熱流束であるにもかかわらず、伝熱面表面温度は上昇し続けた。これは伝熱面上の析出物が徐々に厚くなったためと考えられる。このように濃縮された海水では、沸騰に伴い伝熱面上に結晶が析出し、冷却性能は大きく低下する。
小野 綾子; 上澤 伸一郎; 柴田 光彦; 吉田 啓之; 小泉 安郎
no journal, ,
高圧域における沸騰現象の理解と限界熱流束モデルの構築に資するために、2MPaまでの圧力範囲において、プール沸騰垂直面の沸騰挙動を高速度カメラによって観察した。大気圧での沸騰挙動との差異を見出し、広範な圧力範囲における限界熱流束モデルを構築する上で、高圧域で検討すべき現象、パラメタについて考察した結果を報告する。
上澤 伸一郎
no journal, ,
限界熱流束(CHF)の推定は、原子炉熱水力設計の安全性評価において非常に重要である。しかしながら、CHFのメカニズムが完全には明らかにされていないため、実験データに基づいた相関式によって推定されている。一方で、計測技術の飛躍的な向上によりCHFに関する実験研究は大きく前進した。近年では、高速ビデオカメラや高速赤外線カメラを用いることにより、CHF条件下での伝熱面の温度,熱流束,乾燥領域分布の挙動を捉えられるようになった。その結果、伝熱面上の乾燥領域の不可逆的な拡大がCHF現象の引き金となっていることがわかってきた。一方で、原子力発電所におけるCHFの観点から考えると、高圧条件や高サブクール条件での、伝熱面の温度や熱流束,乾燥領域分布の実験結果はまだ少なく、今後の研究の進展が待たれる。本報では、プール沸騰におけるCHFのメカニズムを解明するための実験と計測技術に関するこれまでの研究を振り返り、その課題について報告する。